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B群溶血性連鎖球菌(GBS)感染症

GBSとは、B群溶血性連鎖球菌という細菌のことです。
この菌は普通の成人に感染していても大きな症状をおこすことはほとんどありません。
ただし、まだ免疫力がちゃんと完成していない新生児(生後0日から90日)などに感染すると重篤な敗血症や肺炎をおこすことがあります
妊娠中のひとの膣のなかを調べると、10%前後〜30%にはこの菌がみられるといわれています。
そして、この膣の中にいる菌が子宮頸管から子宮内に侵入し、早い時期の破水や早産の原因のひとつとなるともいわれています。
また、膣は、分娩がはじまると、あかちゃんが通る産道の一部ですので、産道であかちゃんがこの菌に感染することもありうるのです。
感染をおこしたことにより、あかちゃんは早期(分娩後1週間以内)には肺炎や敗血症、遅発型(生後1週間から3ヶ月)の感染では髄膜炎などをおこし、場合によっては死亡や障害を残すこともあります。

ですので、妊娠されている場合は、この菌の検査をかならず行います。
検査の時期は医療機関によって異なりますが、妊娠初期と後期に行うことが多いです。
菌が陽性に出た場合は膣内の消毒や抗生物質の投与による治療が必要となります。(この菌にはペニシリン系の抗生物質が効果的です。)
また分娩時に抗生剤の点滴投与を必要とする場合もあります。(分娩のときに抗生剤による治療を行わなければ、菌を持っている妊婦さんの約30〜40%で赤ちゃんが感染し、そのうちの1〜2%くらいに症状がでるといわれています。)

このように書くととても怖く感じすぎるかもしれませんが、実際日本ではかなり予防策が進んでいるためか、感染したあかちゃんの発病する確率は0.02%以下です。怖がりすぎずに必要であれば治療を受けてください。